「理論と実践をつなぐ、CCの学び」
第10回ACCNインターンシップ参加者 振り返り会レポート
■第10回ACCNインターンシップ報告会 概要レポート
一般財団法人ACCNは、実践型訓練開発事業という、実践の機会において、キャリアコンサルタント同士の「学び」と「つながり」による成長を後押しすることも、活動の一つとして大切にしています。
その一環として実施しているのが、「ACCNインターンシップ」プログラム*です。これは、経験の浅いキャリアコンサルタントが、第一線で活躍する会員のベテランキャリコン(以下、ファシリテーター)の実践現場に同席し、実際の支援や研修に立ち会うことで、現場感覚と学びを得る機会です。
第10回を締めくくる報告会では、参加者が現場での体験をもとに、自身の成長や支援のあり方を語り合いました。理論で学んだことが、実際に対象者と向き合う中でどのように生きるのか――学びが実感へと変わる時間となりました。以下、振り返り会の様子をレポートいたします。
*「ACCNインターンシップ(実践型訓練)」プログラムは、経験のないまたは浅い会員キャリアコンサルタントの方に実践機会を体験し次のステップに進んでいただくために、「実施前学習・トレーニング→現場での実践→振り返り・会員との経験知の共有」を一連のサイクルとして実施しています
インターンシップ報告会レポート
― 理論と実践をつなぐ、キャリアコンサルタントの学び ―
◎インターンシップ内容
50歳~55歳社員を対象にした企業内キャリアワークショップの見学と運営補助
◎振り返り会の内容
・実施企業ご担当者様のコメントの紹介
・インターンシップ参加者(以下インターン生)個人の発表
(参加することで気づいたこと、これからのCCとしてのなりたい自分等、自由にディスカッション)
・ファシリテーター、ACCN実践型訓練開発委員からのコメントとインターンシップ参加者との意見交換、質疑応答
・全体のまとめ、感想
<参加者>
インターンシップ参加者6名、ファシリテーター(当日の研修講師キャリアコンサルタント)1名、実践型訓練開発委員・事務局4名
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報告会では、まず「自己概念の理解」や「傾聴姿勢の大切さ」といったキャリア支援の基礎理論が、実際の研修現場でどう活かされるかが共有されました。相手の語りの中から"その人らしさ"を見いだすこと、安心して話せる場を整えること―インターン生は一人ひとりがその難しさと手応えを感じ取っていました。
続いて、『場づくり』の重要性についても多くの気づきが共有されました。ファシリテーターの進行や雰囲気づくりが、参加者の自己開示や気づきを大きく左右することを実感。オンラインでのやり取りや、組織内支援の導入事例を通じて、支援のタイミングや関わり方をどう工夫できるかが具体的に語られました。
こうした実践の積み重ねを通じて、インターン生は「知識を使える力」だけでなく、「支援者としての在り方」そのものを磨いています。今回のインターンシップは、理論と実践を往復しながら、"キャリア支援を自分の言葉で語る力"を育む貴重な学びの場となりました。
◎ インターン生が挙げたキャリアコンサルタントとしての学んだこと
① 自己概念への理解と「その人らしさ」への気づき
・理論だけでなく、実際の場で"気づきを促す瞬間"に立ち会う経験が、自己概念理解の実感を伴う学びとなった。
・自己概念の素となる部分を意識することで、相談者の内面にある価値観や思いに気づく重要性を実感。
・相手の言葉の中に繰り返し現れる"その人らしさ"を捉えることが、支援の本質につながる。
② 傾聴力・共感力の重要性と実践への意識
・相手に集中し、受容的な態度で聴く姿勢を日常から意識する必要性を認識。
(面談だけでなく、日常会話の中でも相手の話を丁寧に聴くことでも傾聴姿勢を養うことはできる)
・非言語的な要素(表情・声のトーン・相槌)も安心感を生む重要なスキルとして実感。
③ キャリア支援の「場づくり」の学び
・同世代グループによる安全で心理的に安心な場づくりが、活発な意見交換や自己開示を促す。
・ファシリテーターの語り口や進行、場の空気づくりが支援効果を左右することを体感。
・企業内キャリア支援では、「タイムリーな支援」「その場にプロがいる」ことの効果を確認。
④ 組織へのキャリア支援導入に関する洞察
・キャリアコンサルタントの関与が、単なる研修を"貴重な気づきの場"に変える可能性を実感。
・自社にもキャリアコンサルティングの仕組みを導入する意義を具体的にイメージできた。
・キャリア支援を"イベント"ではなく"継続的な対話の文化"として根付かせる重要性を認識。
⑤ 自身の課題と今後の成長テーマ
・オンライン操作や時間管理、自己開示のバランスなど、実践する上でのスキル課題を明確化。
・経験を「言語化・体系化」し、支援に活かす自己省察力を高める必要性を認識。
・相手のペースを尊重し、結論を急がず「寄り添いながら共に考える」姿勢を磨くことが課題。
◎インターン生が挙げたキャリア研修を実施する際のポイント
1. 個人に対して
①安心・信頼感のある場づくり
・傾聴姿勢やフィードバックの仕方に配慮し、話しやすい環境を整える。
②自己理解を深める支援
・自己概念や価値観を整理するワークを通じて、自分らしいキャリアの選択を促す。
③気づきを引き出す問いかけ
・単なる情報提供ではなく、内省を促す質問で自発的な気づきをサポートする。
④学びを実践に結びつける
・理論や知識を"自分の言葉で語れる"ように、小さな演習や振り返りを組み込む。
2. 組織に対して
①支援のタイミングとニーズの把握
・社員のライフステージや職務状況に応じた研修内容やタイミングを設定する。
②組織文化・環境への適応
・オンライン・対面など形式の選択、現場で活用できる具体例を組み込む。
③参加者同士の学びを促す構造
・グループワークや事例共有を通じて、多様な考え方や経験から学べる機会を提供する。
④フォローアップの仕組み
・研修後の振り返りや相談機会を設け、学びや気づきを定着させる。
3. 運営にあたって
①進行の柔軟性と環境整備
・研修中の時間配分や話題の深度を状況に応じて調整する。
・安心して話せる空間、必要な資料やツールを事前に整える。
②講師・ファシリテーターの準備
・理論理解に加え、参加者の反応を読み取り対応できるスキルが重要。
③参加者の理解度の可視化
・簡単な振り返りワークや質問タイムで理解度や疑問点を把握し、即時フォロー。
④学びの定着に向けた仕掛け
・ワークシートやメモ、共有資料などを活用し、研修後も振り返れる環境を提供。
◎まとめ
今回のインターンシップも、単なる見学ではなく、「理論を実践で確かめ、自己理解と支援者としての成長を同時に進める場」となっていました。
報告会では、参加者が理論を現場でどう生かすかを模索しながら、相手の思いを丁寧に受けとめ、安心して語れる場を支える工夫を学んでいました。その姿からは、支援者としての専門性を高めながら"人の可能性を信じて寄り添う"キャリアコンサルタントの原点が感じられました。
私たちACCNキャリアコンサルタントは、すべての人が自分の仕事人生を考え、選んでいける力を持っていると信じています。そして、一人ひとりがその人らしく働き、生きる、「善い仕事」を実現できる社会を目指しています。
――今回の報告会は、まさにそのような想いを言葉だけでなく行動で体現し、仲間と共に学び合い、支え合いながら、小さな一歩をお互いに感じることでこれからのキャリア支援者としての在り方・生き方をあらためて共有する時間となったように感じました。
●ACCNキャリアコンサルタントとして絶えず立ち返り、考え続けたい拠りどころとして
「ACCN WAY」https://way-betaversion.kirara.st/
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▼ACCN事務局より
インターンシップに関しては、現状、参加希望者の皆様の数に対して、ご参加いただける方に限りがあり、大変心苦しく思っております。ACCNは、今後も会員の方にこのような機会を継続して創出していきたいと考えております。
皆様の周囲で「自社でキャリア形成支援に取り組みたいがやり方がわからない」「社内でキャリアコンサルタントが活躍できそうな機会はありそうだが、具体的にどのように進めれば良いか分からない」といった「組織内キャリアコンサルティング活動のモヤモヤ」がございましたら、ぜひ事務局にご相談ください。皆様と一緒に考え、具体化できるようにしてまいりたいと思います。
最後になりますが、ACCNの取り組みをご理解いただき、このような貴重な機会をご提供いただきました企業様には心より御礼申し上げます。社員の皆様への丁寧なキャリア形成支援の取り組みに接し、私どもも大変勉強させていただいております。今後とも、引き続きお力になれることがございましたらありがたいと思っております。
ー みんなの「生きる」をキャリアでつなぐ。ACCN ー
ACCN事務局 info@allccn.org
●ACCNでは、キャリアコンサルタントの実践力を高める多様な学びの機会を提供しています。次回インターンシップや各種プログラムの情報は、会員向けページで随時ご案内しています。
