「60歳からのキャリアをどう描く?」
第9回ACCNインターンシップ参加者 振り返り会レポート
一般財団法人ACCNは、実践型訓練開発事業という、実践の機会において、キャリアコンサルタント同士の「学び」と「つながり」による成長を後押しすることも、活動の一つとして大切にしています。
その一環として実施しているのが、「ACCNインターンシップ」プログラム*です。これは、経験の浅いキャリアコンサルタントが、第一線で活躍する会員のベテランキャリコン(以下、ファシリテーター)の実践現場に同席し、実際の支援や研修に立ち会うことで、現場感覚と学びを得る機会です。
第9回目となる今回は、企業で今年度から再雇用で働く方を対象にしたキャリアワークショップに、4名のインターン生が参加しお手伝いさせていただきました。
後日開催されたインターンシップ参加者の振り返り会では、60歳以降のキャリア支援というテーマで、働く環境、年代など多様な背景をもつ参加者同士が、インターンシップに参加して感じたこと、考えたことについて対話を交わしました。さらに、キャリアワークショップ講師を務めたファシリテーターとも意見交換をし、学びを深めました。
この振り返り会は、ACCNが大切にする「世代を超えた学び合い」「実践を通じてお互いが成長する機会」の理念を体現する場となりました。以下、振り返り会の様子をレポートいたします。
*「ACCNインターンシップ(実践型訓練)」プログラムは、経験のないまたは浅い会員キャリアコンサルタントの方に実践機会を体験し次のステップに進んでいただくために、「実施前学習・トレーニング→現場での実践→振り返り・会員との経験知の共有」を一連のサイクルとして実施しています
・・・・・・・・・・・
──ACCNインターンシップで広がる、世代を超えた学びと対話
~インターンシップの機会から見えたこと~
◎インターンシップ内容
再雇用社員を対象にした企業内キャリアワークショップの見学と運営補助
◎振り返り会の内容
・参加者アンケート結果の概要説明と実施企業ご担当者様のコメントの紹介、質疑応答
・インターンシップ参加者個人の発表
(参加することで気づいたこと、これからのCCとしてのなりたい自分等、自由にディスカッション)
・ファシリテーター、ACCN実践型訓練開発委員からのコメントとインターンシップ参加者との意見交換
・全体のまとめ、感想
<参加者>インターンシップ参加者4名、ファシリテーター(当日の研修講師キャリアコンサルタント)1名、実践型訓練開発委員・事務局4名
▼ インターンシップ振り返り会で話されたこと
〇「終わり」ではなく「始まり」としての60歳
「60歳で役職を退いたとたん、まるで"人生の終わり"のように感じてしまう人がいる」。
参加者の一人が語ったご自身の組織現場での様子です。その一方で、ワークショップの中で提示された「人生の最期の日を想像してみてください」という問いに強く心を動かされた。単なる知識やノウハウではなく、想像力によって相手の立場に立つ――そんな視点がキャリア支援における大きな武器になると気づいたと話します。
〇若い世代との「架け橋」となるために
「フラットに、評価せずに話を聴く」。
若手社員との関係構築に悩む参加者が、自らの癖に向き合い、パソコンの横に自分に見立てた小さな人形を置いて"公平な視点"を保とうとする工夫を共有すると、場は温かな笑いに包まれました。
世代を越えた相互理解には、知識のみならず態度と姿勢も問われることを、参加者は改めて実感した様子でした。
〇「話しやすい」だけでなく「安心できる」存在へ
「キャリコンっぽくないキャリコンになりたい」。
ある参加者は、緊張して相談できなかった自身の経験から、相談しやすさだけでなく、相手が安心して心を開ける存在になることの大切さを語りました。
キャリア支援とは、スキルだけでなく"在り方"が問われる仕事である――そんな気づきが共有されました。
〇「自分らしさ」を活かせるキャリア支援とは
ストレングスファインダー、コーチングや日本語教育など、それぞれが持つ個性や専門性をキャリア支援にどう活かすか。
参加者たちは、資格や知識にとどまらず、「自分だからこそできる支援」を模索していました。ACCNがインターンシップ事業で大切にしている、多様な実践を持ち寄ることで「実践を通じてお互いに成長する機会」が、まさに、そこにありました。
〇経営層と対話する力もキャリコンに求められる
振り返り会では、「現場の支援者」としてだけでなく、「経営と対話するキャリコン」という役割についても意見が交わされました。
制度や政策、学術的知見に基づきながら、経営者にキャリア支援の意義を伝え、組織を動かしていく視点の重要性が語られ、多くの参加者が深く頷いていました。
〇「キャリアに正解はない。あるのは"納得解"だけ。」
この日のファシリテーターのこの言葉が、参加者一人ひとりの胸に強く響いていました。
ACCNのインターンシップは、キャリアコンサルタントが「実践の現場」で学び合い、自らの可能性を広げる貴重な機会です。世代を超えて支え合い、挑戦し合い、共に歩む――そんな未来のキャリア支援の姿が、今回の振り返り会には存在していたと感じました。
・・・・・・・・・・・
▼ACCN事務局より
インターンシップに関しては、現状、参加希望者の皆様の数に対して、ご参加いただける方に限りがあり、大変心苦しく思っております。ACCNは、今後も会員の方にこのような機会を継続して創出していきたいと考えております。
皆様の周囲で「自社でキャリア形成支援に取り組みたいがやり方がわからない」「社内でキャリアコンサルタントが活躍できそうな機会はありそうだが、具体的にどのように進めれば良いか分からない」といった「組織内キャリアコンサルティング活動のモヤモヤ」がございましたら、ぜひ事務局にご相談ください。皆様と一緒に考え、具体化できるようにしてまいりたいと思います。
最後になりますが、ACCNの取り組みをご理解いただき、このような貴重な機会をご提供いただきました企業様には心より御礼申し上げます。社員の皆様への丁寧なキャリア形成支援の取り組みに接し、私どもも大変勉強させていただいております。今後とも、引き続きお力になれることがございましたらありがたいと思っております。
ー みんなの「生きる」をキャリアでつなぐ。ACCN ー
ACCN事務局 info@allccn.org